子供自慢の心理と問題点
自分の育てた子供が、上場企業に就職したり、起業して社長になったり、プロスポーツの選手として活躍、芸術家として成功等。
これら、社会的に評価される仕事に就かれ、それなりの、成果、成績をあげている子供を持つ親の心理は、内心、鼻高々かもしれません。
自分の子供は、同年代の子供と比べても、上を行ってる等、比較による、子供を自慢したい心理も働くことでしょう。
しかし、子供の社会的地位や成果によって、子供を自慢したいお気持ちは分かりますが、滅多なことで、その事を口に出してはいけません。
口に出したとたん、この人は子供を自慢して、自分の自己満足に浸り、自己のアイディンティティを子供に委ねているのではないか等、他者の反感、妬みを招くでしょう。
さて、今回は、子供自慢の親の心理の問題について触れたいと思います。
それは、自己の劣等感、優越への欲求を、子供の今の社会的地位等によって、満たそうとしてはいなかどうかです。
また、子供が幼い頃から、英才教育、子供に対する教育投資を行った結果、子供がそれなりの社会的評価を得られる地位、立ち位置に就いている等、親の努力の結果、子供がそれなりに活躍している等、思われてはいないでしょうか。
確かに、親はそれなりに、節約(場合によっては自己の楽しみに使うお金を子供に回す等)経済負担を行い、子供を育て上げた自負もあることでしょう。
でも、一番の問題は何か。
本当に子供は幸せな感覚を今、持っているかどうかです。
子供が社会的成功を収めたからといっても、子供が幸せを感じ、充実した日々過ごしているとは限りません。
いずれ子供は、今の社会的地位を放り出し、本当に自分の行きたい道、人生を歩もうとされるかもしれません。
その時、あなた(親)は、どのような心境になられることでしょうか。
一般的な想像力を働かせると、「なぜ」という疑問を抱かれるでしょう。
その時、いろいろと子供と話し合うこともあるかもしれません。
しかし、重要なことは。
子供とは、1人の人間であり、親のアクセサリーではないということです。
親は親なりに真剣に考えて、子供のためを思い、様々な努力をされ育てられた、そのお気持ちは分かります。
でも、子供は成人して、人生において、自分のしたいこと、チャレンジしたいこと、今までとは全く違う道に進みたい等、様々な気持ちの変化、価値観の変化もあり、自己の選択権を行使して、自分の人生を歩む権利があります。
親としては、今の社会的地位を捨てるのは、もったいないことと思われ、今までの自分たちの支援、教育は何だったのであろうと、虚しさを感じられるかもしれません。
しかし、その社会的地位に就けた最大の要因が、子供自身の努力であったことは、間違いありません。
子供がもし、これからは、自分の道を歩みたい(あまりよくない書き方かもしれませんが、親の敷いたレールを降りたい)と、親に対して発信された時。
親は、次の心の動きに注意してください。
・今までの自分の努力、投資は何だったのか。
・先の見えないチャレンジ等、危険であり、失敗するに決まっている。
子供に対するディスカウント。
・自分の半身が消える感覚(これは、子供が社会的評価を失い、親自身の自己価値が下がる感覚)。
・この子は気が狂った 自分の言う通りにしないのなら勘当 まさに子供の私物化。
・子供の人生の先が見えないことにより、自分が不安で押しつぶされる感覚。
親子未分離 子離れの失敗。
・自分が他者に対する優越感がなくなる、自己価値低下の不安。子供より価値を得ている。
これらの感覚を、もし、待たれたとしたら、あなた(親)は、子供を自分の分身、人形のような思いで、育て、見られていたかもしれません。
親であれば、子供の幸せと、安定した人生を願われることは、私も理解しています。
その為に、自分自身も節約、努力した自負。
子供が成功してくれた喜びを感じる。
子供を自慢したい気持ち。
これらの感覚をお持ちになることは、通常の心理だと思います。
しかし、あまりにも、子供の人生の先を悲観し過ぎたり、子供の今後の人生はもうないと思われたり、自分の今までの努力は報われない、返せと強い怒りを抱き続けたり等の、心理状態に陥ったとすれば、やはり、自己のアイディンティティを、子供の社会的地位によって、満たしていた可能性があります。
もう、この子は自慢出来る子供ではなくなった等思われたとすれば、自分(親)の為に子供は生きるべきと、子供の人生、人権を無視していることとなるでしょう。
子供が親の意に反して、自分の人生を変えてみたい。
やりたいことが見つかった、チャレンジしたい。
これらのことを仰られたとしたら、それは、子供が進歩した証です。
子供はリスクを承知のうえで、自己の人生を問う道に進まれる決意をされたのです。
そして、これからの、子供の人生を応援してあげられるか、否か。
この時、あなた自身も、親として、そして、1人の人間として、その人間性が問われる時でもあるのです。
最後に、あなたが(親)が、劣等感等の強さを感じており、その劣等感を子供の成功によって覆そうとしいるのであれば、それは、自分の人生を通して、克服すべき問題です。
あなたの劣等感は、子供には関係ありません。