夢(夢中)と儚さ
漢字とは不思議なものです。
夢。
人が何らかの夢を抱き、その夢の実現の為に、時間も忘れ集中し、常に夢の実現のことばかり考えていることを、夢中と書きます。
そして、儚さ。
なぜ、人と夢を合わせて、儚いと書くのでしょうか。
人の夢とは儚い結果を迎えるという意味なのでょうか。
儚い。
この漢字を私の感覚で捉えると、虚しいと変換されます。
さて、私たちは、夢を追いかけている時、夢の現実化のことで頭が一杯で、そのことばかりに夢中になっています。
私たちが夢中になっている時。
私たちの心理、心の状態は、夢以外のことを考えることは不可能な状態になることも多々あります。
夢の実現に没頭しているのです。
私、個人の意見としては、夢に没頭、夢中になることが良い、悪いとは思っていません。
しかし、夢中のあまり、夢以外の大切な何かを、放ったらかしているとすれば、その夢を実現したした後は、大切な何かを失ってしまった感覚、実感、儚さが待っているかもしれません。
例えば、交際中の男女。
彼は夢の実現に夢中。彼の頭の中には、夢を実現した後、彼女と結婚と考えているかもしれません。
しかし、彼女は彼が夢に夢中なので、なかなか会ってもらえず、淋しい思いをずっと感じているかもしれません。
やがて、彼女は決断します。
彼は私よりも、夢を一番にする。
本当は私に夢中になってほしいのに、でも彼は夢のことばかり。
その夢はいつ現実のものとなるのだろう。
将来が心配、婚期を逃す。別れた方がいいのかと悩み続けた結果。
彼との別れを決断します。
その後、彼が夢中になっていた夢を実現、達成、成功したとしても、愛する彼女は側にいません。
彼の目論みは外れ、夢の実現を一番に祝ってほしかった人がいないのです。
彼は夢中の結果、夢は実現した。
しかし同時に、失った大きさを実感、儚さを味わうのです。
別の例を書きましょう。
夢の実現。
例えば、プロのスポーツ選手、または、会社の起業(設立)に向かって、夢中になっている方。
夢中で練習、ビジネスを学ばれていることでしょう。
そして、努力の結果、彼らの夢は実現します。
しかし、夢の実現(夢中)と儚さは並列していることが多いのです。
スポーツ選手が見事プロとして活躍しはじめても、どこかでスランプ、怪我に見舞われ引退を強いられることもあるでしょう。
一時的にせよ虚しさ、儚さを味合われることでしょう。
もちろん、その心の状態より、次の目標を見出し、努力されることでしょうが・・・。
会社の起業、事業の立ち上げに夢中になる。
そして、見事会社を設立して、顧客もつき、会社運営も軌道に乗り、利益も出始める。
夢中になって努力した甲斐があって、夢は見事に実現します。
しかし、夢が実現した時を頂点とすると、会社を維持する為には、ここからさらに上を目指さなければなりません。
そうしなければ、同業の後発組に追い抜かれてしまうからです。
夢を夢中で実現して成功者となったとしても、更に次の目標、夢を設定しなければ、会社は増益出来ず、倒産してしまう場合もあります。
この時、お金だけの関係でつながっていた人は、彼(社長)を見放し、蜘蛛の子を散らすように、皆、散ってしまいます。
友人と思っていた人々から見放されてしまうのです。
また、家族とも離れ離れになってしまうかもしれません。
自己破産、離婚。家族崩壊
あの夢中になって時分のことは、何であったのだろうと思われるでしょう。
この時、彼の夢中になって達成した喜びの感覚が、虚しさ、儚さの感覚へと、心の状態は変わってしまうのです。
一度、倒産してしまうと気力も萎え、夢の崩壊、儚さを味わい続け、心は折れ、心理的にも不安定な状態に陥ることも、人によっていらっしゃるでしょう。
夢中とは、夢に向かって熱中することと考えれば、その先には、夢を達成出来なかった儚さ、また、夢を達成しても、その夢の実現を継続出来なかった、儚さ。
夢は生きる希望を人に与えます。
しかし、同時に儚さを味わうリスクもあるのです。
夢と儚さは紙一重。
たとえ、夢が叶わなかったとしても、一時的には虚しさ、儚さより、絶望を感じ続けられるかもしれませんが、そこから、立ち上がる、力もいずれは湧いてくることでしょう。
そのためには、誰かに心を支えてもらう、支援が必要かもしれませんが。
もし、夢が潰えて、儚さを感じ続けたとしても、チャレンジした自分を責めないことです。
後悔は多々あるかもしれませんが、過去を責めないことです。
その時々、精一杯、頑張ったのですから。
これは夢の実現の有無に関係なく。
チャレンジ、夢中になっていた時、儚さを味わい続けた時。
この時々に学んだことを、これからの人生に活かせばいいのです。
人生とは経験の旅。
その時々から得た、経験、知識、知恵、反省、そして、さらなる思いを、これからの生きるエネルギーとして、次の目標、活躍、活動に活かしましょう。
人生はまだまだ続くのですから。
追伸。
夢中について。
夢中になること、熱中することは、事を成すに重要なことです。
しかし、夢中になり過ぎると、その過程においても、大切な何かを失ってしまうこともあると認識してください。
夢中、熱中。
しかし、自分にとって一番大切なものは何か。
この問いと、自分なりの答えをしっかり持ち、事に臨みましょう。