最近冷たくなった彼女について

長幸(仮名)さんには1年間付き合っている彼女がいます。
しかし、最近その彼女の態度が冷たく、先日もちょっとしたことで喧嘩をしてしまい彼女から「私はあなたの奴隷じゃない」「利用ばかりしないで」と一方的に言われ、そのわけが分からずにカウンセリングを受けに来られたのでした。

恋愛当初の彼女の話しを伺うと、彼女は尽くし合わせるタイプだったようです。そして、彼曰く大変親切で優しい人だそうです。
彼からみた彼女の親切、優しさとは、いつも彼の言うことを聞いてくれて、また、常に彼が何も言わずとも、彼の望むことをしてあげたいという姿勢が見てとれ、彼からすると彼女とは「テレパシーでつながっている関係」だったそうです。

それだけ彼に尽くし、常に彼のことを考えていた彼女が、「私はあなたの奴隷じゃない」「利用ばかりしないで」となぜ彼に一方的に言ったのでしょうか。

彼からすると相当強い口調であったようです。
ここには彼女の怒りを感じます。彼女は彼に怒っているのでしょうか。

それとも・・・。

上述の彼の話しから感じた私の彼女像は、「自分を確立していない人」「自己受容が出来ていない人」と感じました。そのため「彼に受け入れてもらいたい気持が大変強い人」とも思いました。

彼の話しからすると彼女は恋愛当初から今までの1年間、常に彼に尽くし、合わせてきたわけです。彼は「彼女は僕の決定には大概従ってくれた」と話しています。 私からすると彼女は自己主張せずに常に自分を抑え彼に合わせてきたように思います。

それは、彼に好かれるため、彼から必要とされるためだと思います。

逆に書くと、彼女は自己主張すれば彼に嫌われるとでも思っていたのかもしれません。
したがって彼に尽くし、合わせることで彼の心を掴み、彼と一体となることで、自分が確立されていないことより満たされない自己を満たしていたのではないでしょうか。

まず、ここまで考えます。
それではここまで尽くし、合わせ続けた彼女がなぜ彼に対して「私はあなたの奴隷じゃない」「利用ばかりしないで」という言葉を彼に向けたのでしょうか。

「奴隷」「利用」。

この言葉は自分は望んでいないのに、無理に強制されている。自分の意思は無視されてやらされている。
このような言葉のニュアンスを感じます。

そうすると、彼女が彼に尽くし、合わせていたことは、彼女の意思に反することだったのでしょうか。
彼に従い、彼の望むことを先回りして気を利かして行ったことは、彼女の望む行動ではなかったのでしょうか。

少なくとも、今はそうでしょう。

恋愛当初は彼に尽くし、合わせていました。
しかし、今は尽くし、合わせることに苦痛を感じています。
そして、怒りを表現しています。
彼女の気持はなぜ変わったのでしょうか。

考えられることは次の2つです。

・彼女のなかにも、彼に対して自分に尽くして欲しいという気持ちがあり、彼からは彼女が彼のためにしてあげる行為、気配りと同等のものを得ていない。 したがって不満が噴出してきた。 

自分の必要を満たすことなく(彼から満たされていない)、相手の必要ばかりを満たし続けた反動でしょうか。

・彼に合わすあまり、逆に彼にコントロールされているという被害者意識を持つようになった。 自分が進んで彼のためと行っていたが、時間が経つにつれ彼に束縛されているように感じ出した。

さて、ここまで書くと今回の問題の本質は彼女自身にあると考えられます。

1 彼女の自己未確立の問題。自己存在の希薄。
2 彼とつながることで自分を満たそうとする。
3 そのために彼の必要を満たすことに専念して彼の愛を得ようとする。
4 彼は彼女が尽くすタイプだと喜ぶ。
5 しかし、彼女の必要は彼から得ておらず、欲求不満。
6 なぜ自分ばかり彼を満たす必要があるのか。被害者意識。
7 自分を束縛すると感じる彼に対する怒りを持つ。

今回の流れはこのような感じではないかと思いました。

さて、ここまで読まれてどう感じますか?

彼女が満たされない自己を満たしたいために彼に対して、自分を抑え続け、かつ自分を放棄して、彼にばかり目を向け彼の必要を満たすことに専念し続けたことが問題なのです。

彼女に言えるアドバイスとしては、自分を大切にすることではないでしょうか。

ありのままの自分でも愛されるという感覚を持つこと、自己価値を上げ、自分を確立することです。
自分を受け入れることなのです。

関連記事