アサ-ション 適切な自己表現について

自己主張。

私たちは自分を主張すること、特に相手に対して自分の希望、期待、欲求(これらの中には断ることも含みます)を主張することに難しさを感じることが多々あります。
それはなぜでしょうか。

それは、私たちが自己主張したあとの影響を考えてしまうのかもしれません。
嫌われるのでは、怒らせてしまうのでは等。自分の主張に対する相手の反応を過剰に意識してしまうのです。
また、自己主張することの難しさとして、自己主張するスキルを磨いていないのかもしれません。

でも、適度に自己主張しないと人間関係がうまく築けないことは皆さんもご経験あるのではないでしょうか。

例えば相手に「こうして欲しい」といった要求を伝えることが難しいとします。
これを我慢をすると、なぜ相手は私の要求、思っていることに気がつかないのだろうと怒りが生じます。
しかし、残念ながら私たちの要求は伝えないと分からないのです。

また、あなたが相手から頼みごとをされた時、どうしますか?
都合が良ければ快諾するでしょうが、都合の悪い時は?
断りますか?どのようにして。どのように相手に対して断りますか?
また断れない場合はどうしますか。無理をして相手の頼みを聞きますか。
しかし、無理をして相手の頼みを引き受けた結果、あなたは余計な仕事や用事を抱え込み、ストレスを抱え込んでしまうかもしれません。
相手の要望や頼みごとを断るにはいかに話しをするか。

自分の要求や期待を相手に伝える、嫌なことは断る。
このために大切なことは何でしょうか?
それは、自分の気持ちに正直に、しかも相手を責めるのではなく、傷つけるのでもなく相手に伝える。
自分の感情を尊重しながらも、相手の感情も尊重して、自分の気持ちを伝えることが大切です。
この、適切な自己表現のことをアサ-ションと言います。

では、ここで私たちが人とのかかわりにおいていかなる態度で自己主張をするか、その4パタ-ンについて簡単に書きます。

1 直接攻撃的
常に相手を攻撃して自己主張をする人です。

2 間接攻撃的
自己主張をする際、同意したように、または自分が悪い振りをしながらも、相手に罪悪感を抱かす自己主張です。

3 非主張的
自己主張をしません。常に我慢をし続けます。

4 適切な自己表現
自分も大切に、相手も考慮した自己表現を行います。

では、この4つのパタ-ンをもとに2つの事例をみていきましょう。

事例1
今日はあなたの誕生日です。しかし、パ-トナ-はあなたの誕生日をすっかり忘れているようです。プレゼントもお祝いの言葉もかけてくれません。

1 直接攻撃的
今日は私の誕生日。忘れたの?
プレゼントはないの?
いつもながら忘れることにかけては天下一ね。

2 間接攻撃的
今日は私の誕生日だったのに忘れたのね。どうせ私は誕生日を祝ってもらう価値のない人間ですから、いつもいつもそう。慣れています。

3 非主張的
何も言わない。

4 適切な自己表現
今日は私の誕生日。覚えてる?
ここでは相手に対して覚えていると投げかけて、相手の言葉を待っています。
そして、相手の反応に合わせて、お祝いして欲しかったこと等相手を責めることなく自分の気持ちを伝えます。
例えば「忘れられているのは淋しいけど、また埋め合わせしてね」。
⇒自分の気持ちを正直に相手を責めることなく、サラリと伝えることが出来ます。

事例2

職場で同僚より仕事を手伝って欲しいと言われました。しかし、あなたの仕事量は手一杯で応援する余力はありません。

1 直接攻撃的
私は今忙しいの。見て分からない?

2 間接攻撃的
手伝うことは出来ますよ。でも、またひとつ急な仕事が増えて大変。
(ため息を効果的に使います)

3 非主張的
「はい」と断ることが出来ず引き受けます。

4 適切な自己表現
ごめんなさい。今仕事が一杯で手伝えません。また、手が空いたら声をかけます。

どうでしょう。
あなたの自己主張パタ-ンは4つのうちどれですか?
最も活用したい理想的なパタ-ンはどれですか?

やはり適切な自己表現、アサ-ションを用いた自己表現ではないでしょうか。

では、他の3つの自己表現について各々問題をみていきたいと思います。

1 直接攻撃的
相手を責める行為を常にしていますと周囲からは恐がられるでしょう。また、恐がらせている相手は我慢しているわけですから、いつ逆襲されるか分かりません。
いずれにせよ、人間関係を築くのは難しいと思います。

2 間接攻撃的
この態度を取りますと、一見相手からするとおとなしく頼みやすい相手のように思われます。しかし、何かある都度、相手に罪悪感を抱かすような態度を取り続けますと、相手はそれを不快に感じます。
また、罪悪感とは相手を操作することが可能です。何か頼みごとをしても、「自分は忙しいけれど、仕方がないから引き受ける」と、相手に罪悪感を抱かす態度で接しますと、相手は自分が悪いことをしたのかなと、頼みごとを引き下げることも考えられます。これは、罪悪感による相手の行動を操作したことなのです。

3 非主張的
何事も要求しない、拒絶しない態度で日々過ごすとどうなるでしょうか。
これは我慢、抑圧の世界です。しかし、人は完全にすべてを抑圧し続けることは出来ません。過剰な抑圧は怒りに変わります。何かの拍子に人に対して激しい怒りをぶつけるかもしれません。俗に言う、切れるということです。また、怒りが外部に向かない場合は自分自身に向き、鬱病を始め、身体、心理状態に負荷がかかるかもしれません。

いずれにせよ、自分を大切に、かつ相手の感情も尊重をした主張をしないと、人間関係はもとより、自分自身にも不都合が生じるのです。

アサ-ションとは人間関係を築くうえで大切なものなのです。

次回は、意識してもアサ-ションが出来ないことについて書きたいと思います。

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