見捨てられたと感じる時の怒りについて
前号の続きです。
前号では妻が昇格をして会社にとられたと感じて、つい暴言を吐いた夫の相談でした。
この後、読者の方より「女々しい男ですね」等感想のメ−ルが何通か来ました。
私はカウンセラ−だからというわけではないのですが、別に彼のことを女々しいとか、小心者とかそんなふうには捉えていません。
人によっては見捨てられるのではと思った瞬間、心が揺れたり、何か分からないけど怒ってしまったというのはどうしようもないことなのです。
では、整理しましょう。
見捨てられるとは何なのでしょう。
どんな時にこの感情を感じるのでしょうか。
見捨てられたと感じる瞬間、それはパ−トナ−の興味、愛が他の何かにとられてしまうのでは感じる時です。
では、何にとられてしまうのでしょうか。
仕事、遊び、子供、ほかには・・・
いずれにせよ、いつでも自分を愛して欲しい、自分の側にいて欲しい、パ−ト−ナのことは何でも知っておきたい。でないと不安。こんな気持ちが強いのです。ですから、問題はこの気持ちの強さなのです。
では、なぜこの気持ちがこんなにも強いのか。それが一番の問題です。
パ−トナ−にいつでも愛してもらいたい、それでは、愛してもらえなかったらどうなるのか。淋しい。孤独感。自己価値の低下。虚無感。・・・
こういった感情をまた味わうことになるのでしょう。
実はこれらの感情は今ではなく、もっと小さい頃よりずっと感じ続けていたものだと思います。
慢性的な孤独感、淋しさ、認めてもらえないことによる自己価値の低さは、本来愛してもらうべき人から十分に愛してもらえなかったことから来ていることが多いです。
では、本来愛してもらうべき人とは?
親、兄弟、友人、親戚、ご近所さん・・・様々でしょう。
そうした愛してもらえなかったという、子供の頃からの淋しさ、孤独感を残したまま大人になった人々は得たいのしれない、何か分からない慢性的な不安、孤独、淋しさを抱えることになります。
そして、もうこの感情は感じたくないという思いから、パ−トナ−に愛を求めすぎてしまうのです。
パ−トナ−から見捨てられたと思う瞬間怒りを感じる時。そこには、子供の時からの満たされなかった悲しみがその背後にあります。
ですから、パ−トナ−に見捨てられたと思った瞬間怒りを感じたとしたら、本当は子供の時に愛してくれなかった人々に対して怒っているかもしれないのです。
子供の時に言えなかった悲しみからくる怒りを、パ−トナ−に言っているのかもしれないのです。
表面上の怒りの表出に捉われるのではなく、その背後にどんな感情があるのか、そこを理解することが大切です。
子供が生まれた瞬間から暴力を振るい出す夫
さて、上述に関連してですが、最近のDVの傾向として、子供が生まれた瞬間から暴力を振るい出す夫の問題があります。
彼らは奥さんの妊娠を知った瞬間から奥さんに無関心になり、我子が家に来て奥さんがその子の面倒を見るや暴力を振るい出すのです。
ここにある心理背景も、見捨てられ不安と怒りが強く影響しています。
まず、奥さんが妊娠をする。この瞬間、夫は妻が自分ではなく子供を愛するのではと不安を感じ始めます。
見捨てられ不安です。
そして、夫が家に帰る。妻が子供をかわいがっている。
自分はのけ者にされたと感じて、暴力を振るい出すのです。
まったく精神年齢が低いとしか言いようがありません。
カウンセラ−としては暴力は見逃せません。
こういった夫はなぜ自分が暴力を振るうのか見つめなおす必要があります。