人と親しくなるには-2 コミュニケーションの問題

2 自分が話すこと 自己開示をためらう

人の話しを聞くことは出来るのだけれども、自分が話すのは苦手と言われる方がおられます。

自分が話すことが苦手とは何を意味しているのでしょうか

a 話すスキルに自信がない
b 話す話題がない 何を話して良いのか分からない
c 話したあとの結果を気にし過ぎる

a 話すスキルに自信がない

私たちが自分のことを話す際に大切なことは何でしょうか。
人によっては相手が興味をひくように話すこと、おもしろおかしく話すこと、理路整然と話すこと、簡潔明瞭分かりやすく等、様々な答えがあると思います。

しかし、私は自分が話しをする際に大切なことは次の1つだと思っています。
「自分に正直に、一生懸命に話す」ことです。

人によっては物凄く話し上手な人がいます。それはそれだけのスキルがあるからです。
でも、スキルがなくても「自分に正直に、一生懸命に話す」ことは誰にでも出来ます。
今出来ることを精一杯すること、今の自分のコミュニケ-ションスキルを受け入れ、ありのままの自分を表現するのです。

コミュニケ-ションはスキルでもあります。スキルは経験、磨けば上達します。
したがって、スキルに自信がなくても、コミュニケ-ション、会話を促進することによって上達出来るのです。
逆にスキルがないからと、コミュニケ-ションを避けていては上達しません。

b 話す話題がない 何を話して良いのか分からない

私は私自身趣味がなく、興味の範囲も狭い人間だと思っています。
カウンセリングや心理学の勉強には時間をかけますが、それ以外のことにはあまり興味がありません。
したがって人と話す際、話す話題がない、何を話して良いか分からないと感じる時もあるのですが、本当に何も話す話題がないのでしょうか?

いいえ、違います。

今まで生きて体験したこと、最近のニュ-スを見て思ったこと、感じたこと等、話す話題についてはいろいろと持っているはずです。

話す話題がないと主張される方は、自分が話す話題が相手に気に入られるだろうか、興味を持って聞いてくれるだろうかと考え過ぎているのかもしれません。
または、こんな話しをしてもいいのだろうかと、申し訳ないという気持ちもあるのかもしれません。

話しをするのに迷うことはありません。
「自分に正直に、一生懸命に話す」ことが大切なのです。

c 話したあとの結果を気にしすぎる

自分が話すということは、例えそれが時事の話しであっても、自分がそれをどう感じたのかということを開示する必要が出てきます。
したがって、自己開示を伴うのです。
しかし、人によっては自己開示をした後、相手からどう思われるかが気になって、自己開示が怖いと言われる方もおられます。

しかし、相手がどう思うかは、これは相手の反応責任であり、話し手の責任ではありません。
話したあとの結果、相手の反応を気にし過ぎる人は、どこからどこまでが自分の責任か、きっちりと境界を考える必要があります。

3 自分が話すことばかり考えて1人相撲を取っている

コミュニケ-ションは話し手と聞き手がいて成り立ちます。
しかし、人が話している時に自分が何を言おうと考えていては、相手の話しをきちんと聞いておらず、すれ違いのコミュニケ-ションに陥ってしまうかもしれません。

また、自分が話すことに夢中になってばかりいて、話しを聞いてる相手の反応を無視しても、すれ違いのコミュニケ-ション、または相手を無視したコミュニケ-ションとなってしまうのです。

自分が話す時は焦らず、相手の反応を確認しながら、ゆっくりと進めていきましょう。

4 話しが合わない 価値観が違い過ぎる

人は様々な価値観、興味を持って生きています。
人によってはまったく価値観が正反対で話しをしても理解出来ない人もいます。
それは、それでいいのです。
とりあえず話しはお互いにして、分かりあえない部分はそれはそれで置いておきましょう。

自分を100%理解してもらおう、受け入れてもらおうと、我を強く出しては逆効果です。
これは、相手からすると価値観の押し付けであり、否定と攻撃行動とも捉えかねません。

大切なことは自分も相手も大切にしたコミュニケ-ションであり、自分を100%認めてもらうことではないのです。
これは、自分の主張を大切に、かつ意見の違う相手も認め大切にすることなのです。
違いは違いであり、間違いではありません。
そして、多くを期待しないことも大切かもしれません。

さて、ここまでは話しを続けるためには、そして続かない原因等について書いてきました。

再三書いていますが、人と親しくなるためには、自己開示、自分とは何者であるか、自分の情報を開示する必要があります。
しかし、人によっては開示した情報に反応されない方もおられます。
これは相手の反応問題であり、自己開示をした側の問題ではありません。

人と親しくなること、親密化の過程は様々です。

様々なことを共有(話題、趣味、価値観等)したり、更には悩みの相談と、共有出来る範囲は、親密の程度と比例していると思います。
そして、深い親密を図るためには、お互いの自己開示と相互理解が何よりも必要なのです。

そして、最後に。

自己開示をするためには、自分が何を思い、何を考え、何を感じているか、自分が自分を理解している必要があります。

しかし、生育歴等の影響でしょうか、自分を抑えてばかりいる人は、自分が何を思い、考え、感じているかを感じにくくなっている人たちがおられるのも事実です。

これは、常に自分を抑え続けてきたことが原因だと思います。

ただ、自分を抑える習慣がついているだけです。

自分を解放出来れば、自分が何を思い、考え、感じているか。

必ず回復します。

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