防衛機制 私たちを守る心のしくみ-2

⑥ 置き換え

ある人物に向けられた無意識的な欲求や行動を他の対象に向きかえることによって、最初の対象からの攻撃を防いだり、不安、罪悪感、欲求不満等を解消します。
例えば子供が先生からひどく怒られた場合、家に帰って先生と親を置き換え、親に当り散らす等。
カウンセリングをしていると会社勤めの方で偉そうな上司は嫌いと言うクライエントの方がおられます。自分の親の偉そうな態度が上司に置き換えられているのかもしれません。

⑦ 反動形成

抑圧だけでは不十分なとき、抑圧を助ける重しとして加えられるものです。
自分の欲求にある程度気づいて、それが表面化することで自己の評価が低下することを恐れ、そのため、まったく正反対の態度や行動をとる防衛機制です。
例えば、ある人に対して憎悪を抱いている時、その憎悪が表面化すると社会生活をおくるうえでは困る時があります。その場合反動形成が働き、その対象者に対して、親切に振る舞い相手や周囲に憎悪を抱いていることを悟られないようにと、社会的な振る舞いをします。
あまりやりすぎると、わざとらしいという印象を与えてしまいます。

⑧ 合理化

もっともらしい理屈をつけて自己を正当化しようとします。
本当は欲しいのに理屈をつけて要らないと言ってみたり。
本来すべきことを、こじつけの理由をつけてやらなかったり。
あまりに合理化に走りますと、社会的共感を得ることが難しくなり、周囲からは理解不能な人になってしまいます。

⑨ 知性化

自分を守るため知識を振りかざします。
何でも知的に分析したり、知っていることを話して相手を説得、打ち負かそうとするので、過剰に行い続けますと、やはり共感を得ることがなく、難しい人と思われてしまいます。

⑩ 補償

ある分野での劣等感を補うために、他の分野で優越感を求めます。
勉強が苦手な子が野球に集中したり、営業成績の芳しくない営業マンがお茶を極めようとしたり・・・。
補償行為も逸脱しない限りにおいては、ストレス解消の有効な手段となります。

⑪ 昇華

抑圧された欲求、衝動、意識的に持っている劣等感等が、社会的、文化的に承認される価値ある好ましい活動となって発現する防衛機制です。
攻撃的傾向や性的欲求による緊張が、学問、芸術、スポ-ツなどで代償的に解消されるのがその一例です。
また、自己の劣等感を社会的に価値あるものに熱中して、その道の大家となる例等、好ましい自己評価の向上でもあります。

いかがでしょうか。
思い当たることはありましたか?

防衛機制の基本は抑圧です。
抑圧が不十分、出来ない時に他の防衛機制が働くのです。

すべての人は皆何らかの防衛機制を持っており、これが自分を守ってくれます。
ただ、自分を守ることばかりに専念してしまうと、他者との関係性が築けない等、逆に生き辛さの原因にもなります。

参考文献(防衛機制 1、2共)
笠原 嘉 著 不安の病理 岩波新書
初級産業カウンセラ- 養成講座テキスト 社団法人日本産業カウンラ-協会編

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