対話の効果 良好な人間関係と脳の活性化

私たちは社会を形成して集団で、生活をしています。
集団生活において一番重要となるのが、我々個々の意思疎通、人としての結びつきでしょう。
そのために、一番大切なことは、我々の相互理解、共感。
そして、そのためのツールがコミュニケーションなのです。

また、コミュニケーションといっても様々な種類があります。
一方的に話す自己PR、演説、講演、人をまとめるための劇場型リーダーシップコミュニケーション、複数人でワイワイ騒ぐパーティ形式等です。

しかし、今回のコミュニケーションの目的と効果については、社会を生き抜くための相互理解を主として考え、人としての結び付き、良好な人間関係を築くことをを主とするため、双方型(1対1)のコミュニケーシュンについて、すなわち、対話の目的と効果について書き進めたいと思います。

また、対話以外にも、人間関係を築くためには、想像力に基づく、他者配慮能力も必要となりますが、想像力とは、あくまでもその人が相手に抱く想像であり、想像と事実・現実は相違することもあります。

したがって、現実に相手と向き合い、話しをすること(対話)は、自分が相手に抱いた、想像力、他者配慮能力の確かさ、不確かさを確認するためにも重要なのです。

では、まず、人間関係を築くための、対話において大切なことは何でしょうか?
1対1の相互理解(意思疎通)のため、良好な人間関係を築くために大切なことは何でしょうか。

A 相互理解のための対話について
1 自己発信・自分が自分の話しをすること
2 相手の話しを聞くこと
3 聞き上手は話し上手
B 対話の効果について
1 承認欲求が満たされる
2 脳の刺激をもたらす
3 生きるためのエネルギー交換
C 心理カウンセラーとの対話
1 カウンセリングにおける対話について

相互理解のための対話(コミュニケーション)について

自己発信・自分が自分の話しをすること

相手を理解することも大切ですが、自分のことを理解してもらうことも大切です。
そうしなければ、相手から自身の理解は得られることはなく、その結果、お互いが理解し合えず、相互理解は図れません。
対話とは主として言語でのやりとのですので、自分のことを話すことが必要なのです。

人によっては、自分のことを話すことは苦手とおっしゃる方もおられます。
この場合、なぜ、自分のことを話すことが苦手なのか、考える必要があるでしょう。
「どうせ、自分の話し等、誰も興味を持って聞いてくれない」
「どうせ、話しても、理解されないであろう」
このように、勝手に決めつけた、お考え、思い込みはありませんか?

「もしくは、話すスキルが低い、自信がない」と思われていませんか。
話すスキルについては、学習と経験により、身に付けることも可能です。
(但し、精神疾患、社会不安障害等の方の場合は、投薬治療の影響もあり、即学習とは残念ながら進みませんが・・・)

話しをすること、自分のことを話すには、勇気が必要かもしれません。
しかし、話さないと、対話を推進しないと相互理解は図れず前に進めないのです。

但し、自己発信において1点重大な注意点。
自分が話すことに専念して、相手の話しを聞く時間、余裕がないと、自分だけが話し続けてしまい、相手にはうんざりされる可能性が大です。
これでは、当然、双方型のコミュニケーション、対話は図れません。

相手の話しを聞くこと

自分のことを話し、相手に自分のことを理解してもらうことを求めるのであれば、当然、相手のことも理解しなければ、良好な相互関係、人間関係の構築には至りません。
良好な相互関係の構築のためには、相手の話しを聞き、理解することが必要となってきます。

良好な人間関係を築くためには、お互いがお互いを理解することが重要であり、そのためには、コミュニケーション、対話による言語における、お互いの「自分の説明」、「自己説明」が欠かせません。

聞き上手は話し上手

さて、コミュニケーション、話すことが苦手に人は、どのように対話を推進、人間関係を築いていけば良いのでしょうか。
難しい問題だと思いますが。

まずは、思考面においては、全ての人に好かれよう、理解してもらおうと思われないことです。それは、不可能です。

また、コミュニケーションには、「話題」が必要となります。
自分と趣味等、「話題」の合う人と、まずはコミュニケーションを図ることから、始められればと思います。

さらに、「聞き上手は、話し上手」という言葉もあり、他者の話しを聞くということは、以外と難しいものです。

話す、自己発信が苦手な方は、聞くことを主として、対話を促進、コミュニケーション力を培ってもいいのではないでしょうか。

聞くことの重要性は、話し手が話しやすく、分かってもらった、共感してもらったと安心感、安全感をあなたに抱き、好意的な感覚を抱いてもらえる可能性が高いのではないでしょうか。

但し、聞き上手で聞くことを主とされている場合、話しを聞くばかりで、自分の話しは誰も聞いてくれない、自分はどう話して良いのか分からない等、自己発信が出来ないことによる、不満が生じることもあります。

まずは、聞き上手を目指し、自己発信能力も培い、相互理解。対話のためのコミュニケーション力を培い、意思疎通が図れれば理想ですね。

対話の効果について

承認欲求が満たされる

人とは、人に認められたい欲求があると思います。
人に理解されない、無視されるほど、惨めな気持ちはないでしょう。

双方向対話によるコミュニケーションにより、相互理解。
互いの心理的距離感が縮まれば、お互いがお互いを認め合う、人としての大切な「承認欲求」が満たされます。

コミュニケーション、対話、相互理解、人間関係構築は、人が生きていくうえで大切な、承認欲求を満たしてくれるのです。

そして、自分のことを分かってもらった、共感してもらった安心感、理解してもらえた嬉しさも、同時に得ることでしょう。
これにより、良好、強固な人間関係を築ける可能性も大ではないでしょうか

脳の刺激をもたらす

コミュニケーションとは、脳の活性化をもたらすと言われています。
当然、対話においては、相手のことを理解する脳機能が働き、自分のことを話す脳機能も働くわけですから、脳の活力、刺激は相当なものでしょう。

また、コミュニケーションによる脳の刺激は、認知症防止にも役立つと言われています。
誰とも対話をすることもなく、ずっと、1人、孤独でいると、当然、高齢の方になればなるほど、認知症になるリスクの高さは想像出来るのではないかと思います。

生きるためのエネルギー交換

先に書きました2つの例。
対話は相互理解による、承認欲求を満たし、脳の活性化をもたらす。
また、自分の思いを分かってもらった、共感してもらった嬉しさ。
これらは、双方のコミュニケーションによる、エネルギー交換ということ言葉を使ってもいいかもしれません。
また、ストレス発散の効果もあるでしょう。

もし仮に、対話によるコミュニケーションをガソリンと例えるのであれば、ガス欠の車は走りません。
コミュニケーション効果による人間関係滑間、相互理解は、私たちが生きるための、ガソリン、エネルギーを満載にしてくれるのです。

さて、対話の目的と効果について書いてきました。

対話(双方型のコミュニケーション)の最大の目的は、良好な人間関係を築くこと。
そのためにも、相互理解、意思疎通は欠かせません。
そして、対話の効果は、承認欲求を満たす、共感(分かってもらった嬉しさ)、脳の刺激をもちらす(脳機能の活性化)、生きるためのエネルギー交換です。

そして、社会とは人間関係で成り立っていますので、コミュニケーションが取れないと、孤独になってしまいます。
人は孤独で生きることは難しい。
なぜなら、誰からも承認されず、コミュニケーションから得られるエネルギーも得られず、脳の不活性化さえ招くのです。

対話、コミュニケーション、相互理解、意思疎通、共感の大切さ。
ご理解頂けましたでしょうか。

しかし、1点、気に留めて置いてください。

それは、全ての人、全員に好かれようと思わないこと。
人間関係には相性、価値観の問題がありますので、やはり、話しの合わない人、苦手な人がいて、当然なのです。

良好な人間関係を築くための努力は必要ですが、無理はしないようにしましょう。

心理カウンセラーとの対話

カウンセリングにおける対話について

さて、ここまでは、一般論としての対話について書いてきました。
最後に、心理カウンセリングにおける、心理カウンセラーとご相談者様との対話について書きます。

本ページにおける対話とは、1対1でのコミュニケーシュョン、会話を対話と定義いたしました。
カウンセリングにおいても、心理カウンセラーとご相談者様の1対1の対話が主となります。
しかし、カウンセリングにおいては、ご相談者が自身の悩みについて話すことに重きを置き、心理カウンセラーは、ご相談者様のお話しを伺い、質問等も交え、悩みの原因、本質に迫っていきます。

したがって、カウンセリングにおいての対話は、ご相談者様が主役となり、カウンセラーは聞き役となります。
カウンセリングにおいて大切なことは、ご相談者を心理カウンセラーが理解することであり、ご相談者様がカウンセラーのことを理解する必要はないと考えます。

カウンセリングにおける目指す対話の最大の効果は、ご相談者様が抱えている悩みの解決です。
その他の効果といたしましては、話したいことが話せたストレス発散、理解、共感してもらった嬉しさもあるでしょう。

さて、心理カウンセラーとの対話の効果について書いてきましたが、これらの効果については、聞き上手の方と話しても、同等の効果を得ることもあるでしょう。

悩み相談について、全てを心理カウンセラーに委ねる必要もなく、対話を重ねて信頼関係を築いた友人に話されても良いのかもしれません。
相手の時間を取ってしまう遠慮の感もありますが、お互い助け合い心を持ってお話しをされても良いのではないでしょうか。

これにより、さらにお互いの信頼関係が増すかもしれません。
なぜなら、悩みとは秘密にしていることが多々あり(とても他者には言えない)、その悩みを話されるのですから、相手によっては悩みを打ち明けられることにより、自分は信頼されているという実感を強く持たれるかもしれません。

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