秋子さんと良男君の恋愛物語/良男君編
良男君(仮名)は28歳、恋人である秋子(仮名)さんとは最近うまく行っていません。
付き合い出して2年、良男君から見ると、最近の秋子さんの態度にはうんざりしています。
(秋子さんも良男君が冷たくなったと悲しい思いをしています)
良男君の話しを聞いてみて分かったことは、今回の恋愛に限らず、いつも同じようなパタ−ンの恋愛を繰り返しているということです。
なぜか、似たような感じのパ−トナ−を選び別れてしまう。
一体どうして、そうなるのでしょうか。
index
- 恋愛の始まり
- 恋愛中
- 破局のきざし
- 問題は
- なぜそうなるのか
- どうすればいいのか
a.恋愛の始まり
良男君は一流商社に勤めるエリ−トで、スポ−ツ万能、多趣味とかなり忙しい人です。
秋子さんと付き合うまでは、休みの日はゴルフ、テニス、ラフティングとサ−クルなどの活動を精力的に参加していました。
2年前、良男君と秋子さんは友達の紹介で知り合いました。
そして、良男君は秋子さんを一目見て気に入りました。
秋子さんの持っている頼りなげな子供っぽい雰囲気に、「守ってあげたい」と思ったそうです。
b.恋愛中
週末はたいがい2人でべったりと過ごしていました。良男君は子供のように甘えてくる秋子さんに「いつも側にいてあげなくては」「自分が守ってあげなくては」と思っていたようです。
また、デ−トの企画なども良男君が1人で立てており、秋子さんは良男君にただ付いて来るだけでした。
良男君にとってはそれが、「頼りにされている」という感じがして、ますます秋子さんのためにと一生懸命になるのでした。
また、甘えたの秋子さんは常に良男君の声を聞きたがり、電話代も月数万円と結構かかりました。
c.破局のきざし
しかし、付き合い出して1年9ヶ月が過ぎた頃、秋子さんとの付き合いがしんどくなってきました。
「何でもかんでも自分が決めないといけない、秋子は何にも決められない。彼女の食事のメニュ−まで俺が決めないといけない」「もっと自己主張して欲しい、でないと分からない」「子供じゃないんだから、あんまり甘えるな、しっかりしろ」
先月、秋子さんが良男君の帰りを会社の前で待っていました。
それを見た良男君は烈火の如く怒り出しました。
「何かよく分からないけど、むかついた。そう。いい加減人にまとわりつくのはやめろ」
どうやら、良男君は秋子さんに甘えられ、つきまとわれるのが限界にきているようです
d.問題は
ここで良男君のパ−トナ−選びについて分からないことがあります。
良男君は秋子さんの子供っぽいところに魅せられて付き合い出したはずです。
何か頼りのない、甘えたな雰囲気に魅せられたのです。
なのに、秋子さんが甘えるとなぜ怒るのでしょう。
子供っぽい秋子さんが子供のように良男君に甘える。それだけのことです。
それに、その子供っぽい秋子さんを選んだのは、良男君です。
良男君のパ−トナ−選びに問題があるとしか思えません。
e.なぜ、そうなるのか
良男君に子供の頃の両親との関係を聞いてみました。
「私の両親はだらしがなかった。父はアルコ−ル依存症であまり働かず家計は貧しかった。母はそのことで私にグチや文句ばかり言っていた。私は仕方なく新聞配達のバイトなどして家計を助けた。
それでも母はグチを言い続けた。少しでも母の気持ちが楽になるよう母のグチを聞き続けた。
しんどかった。とにかく、私がこの家の家計と両親を何とかしなくてはという思いが強く。それが重く重く心にのしかかっていた」
カウンセラ−として良男君の話しを聞いて思ったことは、良男君が小さい頃より、母親のパ−トナ−の変わりを努め、母親を精神的に支えてきたこと。(父親はだらしなく、母から見ればパ−トナ−として頼りにならなかったのでしょう)
そして、ずっと母のグチを聞き続け、自分が母を助けなくてはと、感じなくてもいい責任を子供ながらに、感じたのでしょう。
そして、アルバイトをして家計を助けますが、母のグチはとどまることを知らず、良男君はますます自分が何とかしなくてはと、責任に駆り立てられ重圧を感じたように思います。
→常に責任に駆り立てられていた。でも、本当はその責任から逃れたかった。
では、秋子さんとの関係において良男君の子供の頃と、どのように関係しているのでしょうか。
良男君は子供の頃、母親のグチを聞き、要求を満たしてきました。
また、アルバイトなどをして余分な苦労も背負い込みました。
それらは、本人の望むものではなく、かなりのストレスも背負っていたと思います。
親の心理的な要求、家計のためのアルバイトなど、それらに応えることが心理的には嫌であったろうことは十分に推測出来ます。他の子供と同じようにのびのびと遊びたかったことでしょう。
したがって、パ−トナ−選びの対象はあまり要求せず、自分の好きなようにさせてくれるパ−トナ−を求めると思います。
その結果子供っぽいパ−トナ−を選んでいたのではないでしょうか。
子供は大人のように高圧的に要求はせず、自分がリ−ド出来ます。
また、自分がリ−ドすることにより心理的にも優越感を持つでしょう。
(子供の頃は親の要求を満たしても満たしても満足してもらえず、無力感を感じていた)
秋子さんは子供っぽく頼りなげで、良男君のパ−トナ−の基準を満たしています。
事実、秋子さんはいつも良男君と一緒にいたいだけで、たいした要求もしていません。
良男君もデ−トの計画など1人で立て、秋子さんをリ−ドし、頼られることの優越感にも浸っていたことでしょう。
しかし、何でもかんでも良男君に頼ってくる秋子さんに、良男君は子供の頃感じていた、あの過剰な責任感を再び感じ始めていたのではないでしょうか。
何でも自分がしなくてはならないというあの責任感です。
こに、矛盾があります。
子供の頃に感じていた無力感を優越感で補おうと、子供っぽい女性を選ぶのですが、その女性が何でもかんでも良男君に自分を委ねてくると、パ−トナ−の責任まで自分が引き受けているように感じ、子供の頃の過剰な責任感が蘇り、その事態を避けようとするのです。
二度とあの思いはしたくない。
f.どうすればいいのか
では、良男君は今後豊かな恋愛を送るためには、どうすればいいでしょうか。
大切なことは、親子関係のあり方を振り返ることだと思います。
自分がどんな子供で何が嫌だったか。そして、それが今の自分にどのように影響しているかです。
もう一つ大切なことは、パ−トナ−にきちんと自分の思いを伝えることです。
秋子さんにしっかりして欲しいと思うなら、そのことを彼女を傷つけないように伝えればいいのです。
伝えることを我慢すると、うまくいくものうまくいきません。