依存しあう恋愛 成長と別れ

もたれあう恋愛とでも言うのでしょうか。
お互いが自分の必要を満たすための恋愛、カップル。
依存しあう恋愛・・・。

依存の恋愛においては、相手を支配する側と、相手に支配される側の2つが存在します。
もちろんどのような恋愛においてもこの感覚はあるかもしれませんが、しかし、この2つの組み合わせが過剰なほど機能しますと、のちのち問題が生じます。

君子さん(仮称)は仕事を長く続けることが出来ません。それは人間関係を築けないからです。君子さんは常に自分が悪いという自分を責める感覚を持っており、常に自分や人生に対して虚しさを感じ続けています。
そして誰かに自分を受け入れてもらえないと生きていくことが出来ないと思っています。
その君子さんのパートナー(同棲中)である徹治さん(仮称)は、傷ついた彼女のそばにいることが、自分の役割であると思い、なぐさめそばに居続けます。

徹治さんの君子さんへの態度は父親と軟弱な娘のような感じです。
常に君子さんを励まし続け、抑圧的で慢性的な体の重さを感じている君子さんの代わりに、仕事から帰ったあとも君子さんのために家事等を行い彼女に尽くすのです。

しかし実は徹治さんも心に虚しさを感じています。
それは成育歴の問題より、人を信頼することが苦手なのです。
彼は本当に心から信頼出来る友人等はいません。
したがって自分に自己存在を依存してくる君子さんであれば、自分を裏切ることはないと感じ、君子さんの面倒をみることで彼女を縛り、心の安定を得ていたのでした。

しかしやがて変化がおこります。
君子さんは、カウンセリングやセミナーを受けはじめ自分自身の問題と向き合いはじめたのです。
そして、考え方や行動が徐々に変わっていき、人と分かち合うことが出来るまでになってきました。
友達も増え、自己表現とは何かも体感してきたのです。

彼女は自分とつながり、自分以外の世界ともつながりはじめたのです。
これに危機感を抱いたのが徹治さんです。
今まで自分の中でしか生息出来なかった軟弱な女性が、自分以外の世界とつながりはじめたのですから、彼の心中は不安が高まります。

自分は捨てられるのではないか。

徹治さんは外出しようとする君子さんを引きとめたり、彼女の行動の監視を強化し、逃げられないように縛りはじめました。
しかしこの行動は君子さんにとっては窮屈でしかありません。
以前の君子さんでしたら彼の束縛は、自分を構ってくれているからと嫌々ながらも歓迎する傾向がありました。
しかし、今は無理なのです。

それは彼女が成長したからです。

依存しあう恋愛においては、お互いが自分にNOの感覚を持っていることが多いです。
だから自分を100%受け入れてくれそうな人を選び、そこに居場所(依存する)をもうけるのです。

しかし、君子さんは依存から自立へと、舵を切ったのです。

そして今や徹治さんの束縛(以前は面倒をみてもらっていたという感覚)をわずらわしいものと感じてきました。

依存しあう恋愛は互いが依存しあうことに価値を求めます。

しかしパートナーのどちらかが成長して自立を歩みはじめる時、依存しあう恋愛は終わりを迎えるのです。

徹治さんからすると今まで自分があれほど尽くしてきたのにと思うかもしれません。
しかし、残念ながら徹治さんの尽くすという行為の本質は、君子さんを縛るためのものであり、捨てられることを恐れてのことであり、結局は自分のためにしていた行為なのです

恋愛においてパートナーが成長し、互いのパートナーである彼、彼女を振り返った際、今後均衡を取ることが難しいと感じた場合は、必然的に別れが来るのです。
別れを告げられた方は、自分の問題と向き合い、自分を高め、次に豊かな恋愛を期待しましょう。

いつまでも別れた相手に執着することはやめましょう。
執着から得るものは何もありません。

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