親の育児態度とアダルトチルドレン−1

今回は親の育児態度と子供の性格に対する影響について書きたいと思います。
もちろん、アダルトチルドレンの問題が中心ですが、それ以外にも参考になると思います。

心理学者サイモンズは、親の育児態度を「支配と服従」「保護と拒否」の4極に分けました。
今回は、支配と服従を中心に見ていきたいと思います。

まず、支配と聞いて何を感じますか?
上から押えつける、こんな感じでしょうか。
それとも、他に何かありますか?

私はこの支配についてを、今までのアダルトチルドレンの相談例を参考に4つに分けたいと思います。

1 過干渉
2 過保護
3 暴力
4 寄りかかり
5 保護と拒否

1 過干渉

干渉とは何でしょうか。この言葉を詮索と置き換えてもいいかもしれません。
要は親が子供に対して「〜〜した」「〜〜どこへ行っていたの」と日常にありふれた干渉・詮索から、子供の机の引き出しを勝手にあける、または、友人関係にまで口を挟む等様々です。

しかし、過干渉に共通している親の心理は、子供のことを過度に知りたいということ、そして、直接的に自分の気に入るように動かしたいということです。反抗するパワ−のある子供は反抗するのでしょうが。
そのパワ−のない子は何を言っても、口やかましく反論され理解してもらえないと悟り、ついには諦めて親の言うがままになってしまいます。
また、この過干渉は厳格も含むかもしれません。

2 過保護

親が子供を保護養育する。微笑ましいことです。しかし、度が過ぎると違います。過保護とは親が子供を溺愛するあまり、子供をペット化してしまいます。

何をするにしても心配してそれを口にする。子供がすべきことを先回りしてやってしまう。子供は自分が可愛がられていることは分かっているのいで、親の行き過ぎた言動、行為を受け入れます。(もちろん親の過保護な行動に対抗するパワ−があれば別です)

しかし、親からの一方的に行為の連続により、本当に自分のしたいことはさせてもらえません。ここにも自分は何を言っても希望しても、聞いてもらえないと諦めがあるかもしれません。
または、自分は何もしなくてもいいんだと誤った人生態度を持ってしまい、考えることすら放棄して思考能力が欠如してしまい何事も受身になってしまうかもしれません。

過保護とは親の主観主体に基づく一方的な愛情であり、共感に基づくものではないのです。
もちろん、そのことを親は気付いていません。
ここから親の得るものは、これだけこの子を愛しているという自己満足です。

3 暴力

言葉の暴力、力の暴力を含みます。子供が何かをして気に入らないと叩く、罵る。絶対的否定を行います。または、自分の機嫌によって可愛がったり、八つ当たりをしたりと滅茶苦茶です。このような親を持つと子供は、いつ叩かれるか、いつ罵られるかと日々怯えてしまい、親の顔色ばかり伺ってしまいます。また、度が過ぎると精神の破綻をきたすかもしれません。

今回は過干渉、過保護、暴力(厳格)の3つを取り上げました。この3つに共通するものは何でしょうか。

すべては子供を直接的に支配する親の意図です。過干渉は子供のことを常にすべて把握。自分の気に入るように厳格に子供を支配します。過保護は自己満足的な愛を前面に押し出し、子供を飲み込んでしまいます。言葉、力による暴力は言うまでもなく子供のすべてを支配して、時にはその凄まじさから精神崩壊へと追い込むことでしょう。

いずれにせよ、これらの育児態度で育てられた子供は、常に親の視線や思いを過剰に意識してしまいます。いつ親から干渉されるか、飲み込まれるか、叩かれるか等に日々ストレスを感じて怯え、安心感を抱くことが出来ません。安心感を得ないと子供は常に不安を感じて生活することになり、神経質(ちょっとした物音でもびっくりしたり、不安先行思考等)にもなってしまうでしょう。

また、親から誉められること、認められることもほとんどなく、親の価値、期待、力に合わせて生きていくことになり、自分の感情を感じることや表現することを自身に禁じてしまい感情喪失、無力感に包まれてます。そして、自分の人生を自分で決定して生きることからくる自己信頼感、自己効力感を培うことが出来ないのです。

生きるエネルギ−を親に吸い尽くされ、生きている実感を失ってしまうのです。

今回はここまでです。
次回は 4 寄りかかりと、「保護と拒否」についても考えたいと思います。

次ページ親の育児態度とアダルトチルドレンー2も併せてお読みください。

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