プライドが高く頑固な彼について
奈々子(仮名)さんは、2つ年上の彼のことで悩んでいます。
奈々子さんによると、「彼は普段はおとなしいのですが、変にプライドが高く頑固で、自分の意見を曲げない人」なのです。ですから、奈々子さんが彼と話していて、少しでも彼に反対の意見を言おうものなら、彼はネチネチと口撃してきて、絶対に自分を意見を曲げず、また、最後は怒りから口もきかない状態になるそうなのです。
そして、いい加減奈々子さも彼には愛想を尽かしはじめていたのでした。
さて、私は奈々子さんの彼にお会いしたことはないので、彼の人物像は分かりません。 しかし、プライドが高いということ、頑固ということ。
ここに問題があるのは間違いありません。
まず、プライドが高いということ。プライドが高いとはどのような状態なのでしょうか。
プライドとは自尊心のことです。自分を尊ぶということ。プライドとは自分を大切に自分の能力を信じて、自分に誇りを持つことと、言葉を変えてもいいと思います。
そして、プライドを問題とする時、問題となるのは次の2点です。
1 プライドが高すぎて思い上がって尊大で傲慢な態度で振る舞う。
2 自分に自信がなくその防衛としてプライドが高いように振る舞う。
では、彼に関してプライドの問題とは何でしょうか。
前者のプライドが高すぎて傲慢な態度で振る舞う問題をまず考えると、冒頭に書きましたが彼は普段はおとなしいのです。おとなしいとは、内向的な状態を指します。したがって、思い上がった尊大さとはニュアンスが違うと思うのです。思い上がった尊大さであれば、常に人に対して尊大に振る舞う傾向もあり、彼のように普段はおとなしいとはならないと思うのです。
ここで1つ問題があります。
なぜ、奈々子さんは彼のことをプライドが高いと思ったのでしょうか。
奈々子さんは彼は変にプライドが高いと表現しています。
「普段はおとなしいのに、私が彼に対して反対意見を言うと絶対に認めないところです」と、答えが返ってきました。
なるほど、奈々子さんは彼が自分の意に反する意見を認めないことを、プライドが高いと思ったのです。そして、これを言葉を変えて頑固とも表現しています。
したがって、彼はプライドが高いというよりも、自分に固執する頑固者のようです。
では、頑固者からどのようなイメ-ジがありますか。
頑固爺。
いますね。
でも、この頑固者は普段から頑固者で気難しいオ-ラを当たりに撒き散らしています。普段はおとない彼には当てはまりません。彼が頑固なのは自分の意見を否定された時なのですから。
自分と違う意見を言われて自分にこだわるということは、この意見の違いを自分が否定されたと感じる時によくみられます。
先にプライドに関して、自分に自信のない人がその防衛としてプライドが高いように振る舞うことについて書きましたが、自分が否定されたと思った時に、自分にこだわり頑固になるのも、自分を他者からの否定から守る防衛行為と考えられます。
もちろん、本当はこの時に起こっていることは意見の相違であり、人格の否定ではないのですが。
どうも彼は意見の相違を人格の否定と混同しているようです。
そして、自分が否定された怒りから奈々子さんにネチネチと口撃を行い、最後は腹立ちさから口をきかない状態になってしまったのです。
これだけ書くと彼は小さな子供のようですね。
親に怒られた子供(行為に対する叱責であり、人格に対する否定ではありません)が、親に逆に食って掛って、最後は怒りからふてくされる。
こんなイメージです。
でも、もしかすると本当にそうかもしれないのです。
子供の頃常に親や周囲に否定をされ続けて大人になりますと、ちょっとした否定に対しても敏感に反応してしまいます。
敏感で余裕がないので、ちょっとした意見の相違でも自分が否定されたと感じてしまうのです。
そして、これは子供の時の再演なのです。
小さい子供が傷ついて泣いているのです。
「もうこれ以上ボクのことを否定しないで!」
まだ、彼の子供時の傷は癒えていないのかもしれません。
そして、もしかしたら奈々子さんに母親を求めているのかもしれません。
子供の時否定され続けた母親ではなく、自分の理想の母親、常に自分を受け入れてくれて安心出来る母親です。
もし、彼が奈々子さんにそのような感情を無意識のうちに持っているとすれば、奈々子さんからの否定は、お母さんからの否定であり、自分のことをもっと分かって欲しいと、彼のなかの子供の部分が怒り、そして最後は、自分のことを否定するならもう話してあげないと、ふてくされてしまうのです。
これは仮定の分析ですが。 彼がなぜ自分と意見が違うと怒って頑固になるのか。カウンセリング等受けて自分を振り返った方がいいかもしれません。